先日、人工股関節全置換術後ステム周囲骨折の方が入院されました。今回は壮年の患者さんで、比較的骨質は良好です。
人工股関節全置換術後ステム周囲骨折の分類は、バンクーバー分類(The Vancouver Classification for Periprosthetic Fractures)が有名です。
バンクーバー分類
- type A 転子部
- type B1 ステム周囲 人工関節が安定
- type B2 ステム周囲 人工関節が不安定
- type B3 ステム周囲 骨質が不良で骨片が粉砕している
- type C ステムよりも遠位
転位の程度はごく軽度ですが、わずかにステムの沈下もみとめます。このため、バンクーバー分類 type B2と判断しました。一般的には下記のような治療方針が選択されます。
- type A 保存治療
- type B1 骨折観血的手術
- type B2 骨折観血的手術+再置換術
- type B3 骨折観血的手術+再置換術
- type C 骨折観血的手術
体動時も疼痛自制内ではあるものの、人工関節は不安定化しています。保存治療で骨癒合する可能性もありますが、長期の免荷が必要です。
このため、セオリー通りにロングステム+骨折観血的手術を行うことになりました。ステム周囲骨折の骨折観血的手術+再置換術は難易度が高いですが仕方ありませんね。
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セメントレスステムのポーラス部に骨折が入っているか入っていないかなので簡便でおすすめです。