先日、知人の腱性マレットを治療しました。この機会に、なかなか決定打の無い腱性マレットの治療法について勉強してみました。


勉強といっても、いつもお世話になっている大学の手外科の先生に教えていただいた耳学問です(笑)。まずマレット指で困るのは、DIPJの伸展障害だけではありません。


実際にDIPJの伸展障害で困るのは、ポケットに指を突っ込む時に引っ掛かる程度です。それよりも長期経過でスワンネック変形を併発することの方が重要です。


スワンネック変形を併発する理由は、central bandの機能不全のためにlateral bandが側方に落ち込んでいくためです。すぐにスワンネック変形をきたすわけではありません。


しかし、長期的にはスワンネック変形に移行する可能性が高いので、いつも以上に真剣に治療について考える必要があります。


そうは言っても腱性マレットの決定的治療は存在しません。大学の先生は、DIPJ過伸展+PIPJ屈曲で外固定4週→DIPJ伸展固定4週=計8週間がイチオシとおっしゃられていました。


しかし、24時間固定する必要があるので、なかなかハードルが高いです。次善の策として、DIPJ伸展位での経皮的固定術が選択されます。


今回も本治療を選択しましたが、cross pinnningを皮下に埋没させるのにやや苦労しました。普段は皮下埋没しないため、こんなに面倒な手技だとは思っていなかったのです。


高齢者の腱性マレットはそれほど珍しい外傷ではないですが、若年者では仕事との兼ね合いで治療が難しくなることがピットフォールだと思います。





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