リウマチ NEWS LETTER 64をパラパラ流し読みしていると、興味深い記事を拝読しました。松山赤十字病院リウマチ膠原病センターの押領司先生による勤務医からの視点です。


お題は「急性期病院における自己免疫疾患診療の利点と難しさ
」です。急性期病院の利点は下記のごとくです。

  • 各種検査を迅速に実施できる
  • 他科との連携が速やかにできる


ほとんどの医師は大規模基幹病院の勤務経験があると思うので上記は納得できるでしょう。一方、自己免疫疾患診療の難しさがあるとは思ってもいませんでした。


その難しさとは、経営的な観点では自己免疫疾患診療は大きな役目を果たすことができない点だそうです。急性期病院では、経営の観点で外来患者数を減らす動きが強まっています。



このことは、外来診療がメインとなる自己免疫疾患診療には逆風になります。そして最大の難しさは、患者さんがよくなるほど入院が減り医業収入が減少することです。


外来患者さんのアウトカムが向上すると、入院が減るため医業収入が減少して逆風になります。更に院外処方に切り替わると、ますますその傾向が強くなります。


まさに小児科が低収益だと叩かれるのと同じ構図が繰り返されているようです。少なくとも現在の状況では、自己免疫疾患診療のプレゼンス低下は避けがたいと言わざるを得ません。


自己免疫疾患診療は膨大な知識が必要なので、医師の中の医師であるという認識を抱いていましたが、どうやら院内でのプレゼンスとは別問題のようです。


医業収入なんて関係ない!患者さんがよくなればいいんだ! というスタンスではやっていけないところが大人の事情ですね...。


生物学的製剤全盛の風潮からは想像しにくいですが、製薬会社の隆盛と反比例して、自己免疫疾患診療科の地盤沈下は進行しているようです。






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