先日、80歳台の肩関節前方脱臼の方が救急受診しました。単純X線像を確認すると、脱臼だけではなく大結節骨折も併発しています。
私は、肩関節脱臼の徒手整復に苦手意識を持っています(苦笑)。いろいろ試しますが、なかなか整復できないことが多いからです。
最近では、Stimson法を20~30分ほど施行して脱臼が整復されない場合には、あっさり麻酔科の先生に静脈麻酔を依頼します。
高齢者で筋肉量が少ない方でも徒手整復はあなどれません。患者さんは痛いので全力で脱臼整復を阻止する方向に力を入れます。
無理して徒手整復しようとすると、骨折を併発する危険性が高まります。一方、意識を取ると簡単に整復できるので、最も愛護的だと考えています。
我ながら全くリスクテイクしない安易な選択だという意識はあるのですが、卒後5年目ぐらいの時に、高齢者の肩関節脱臼で骨折を併発してしまったことがトラウマになっています。
問題点はいつも麻酔科医師にお願いできるとは限らないことです。斜角筋間ブロックや関節内ブロックを試したことがありますが、手技の問題かいずれもイマイチでした。
肩関節脱臼はそこそこ症例があるので、何か妙案がないかなと思っていますが、決定打が無いことが私の悩みです...。
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コメント一覧 (6)
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- 2020年01月09日 17:34
- あくまで我流ですが・・・
stimson法で整復できないときは仰臥位でゼロポジションで整復してます。
どうしてもはまらないときは透視下にミダゾラムを0.25〜0.5A静注して鎮静して整復してます。整復後はフルマゼニルで醒ましてます。
麻酔科を呼んだことはありません。
一応今のところこれで整復できなかったことは無いですし、骨折も来したことはありません。
ただ、外傷のセミナーでは高齢者の肩脱臼は医原性骨折か判断するために整復前にCT撮影して骨折を除外してから整復する方がいいみたいですけど、そこまではやり過ぎな感を感じます。
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- 2020年01月09日 20:18
- 関節内ブロックして、静脈ルートもとって透視室にいき、ゼロポジション牽引法を一度試みます。ダメなら枕元にアンビューマスク置いといて、ラボナールかプロポフォール8ml静注で鎮静して整復します。たまに呼吸止まりますが慌てず整復後にアンビューで換気すれば1分くらいで呼吸は戻ります。プロポフォールは呼吸を止めない程度に利かせようとして量が中途半端だとかえって酩酊状態になってうるさいので、ラボナールの方が好きです。
エコーがあれば斜角筋ブロックをするのが理想的ですが、救急外来にリニアプローべのついたエコーを置いている病院って身の回りには少なくて、あまり機会がありません。
いろいろ整復法試してきましたが、スティムソン法は時間がかかるのでかえって患者さんにとっては苦痛かと思い、やってません。林先生が研修医向けの本によく書いている、肩甲骨を動かして関節窩の方から骨頭を迎えに行く方法はやり方が悪いのかうまくいきません。結局ゼロポジション牽引が簡単で早く確実に整復でき、研修医にも教えやすいという結論に行き着きました。
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- 2020年01月09日 22:13
- あまりメジャーではないですが、関節腔に局麻を10ccいかない程度打ち込んで整復する方法を聞いたことがあります。自分でも1、2回やりましたが、まあまあ効いていた印象です。
SAB注射と同じようにしますが、脱臼しているのでspaceはありますから、手技としては容易です。
感染のリスクもあるのでオススメできるほどではありませんが…
やっている人いません?
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- 2020年01月10日 13:12
- エコーガイド下に鎖骨上神経ブロックを行い,zero-position法でストレスなく整復できます.しっかり麻酔が効くまで15〜20分ほど待つ必要があります.
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- 2020年01月11日 07:04
- 先生方、ご教示いただきありがとうございました!
勉強してみます
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