外来で診る高齢患者さんは慢性的な腰背部痛を訴える方が多いです。特に陳旧性の多発性脊椎圧迫骨折のある方に多い印象です。


このような慢性的な腰背部痛は、骨粗鬆症性疼痛だと思いますが、その原因はいったい何なのでしょうか? 疑問に思ったので文献を渉猟してみました。


椎体内の微小骨折、脊椎アライメント不良、脊椎の不安定性、骨粗鬆症そのものの痛み等の諸説がありますが、基本的にはまだ原因は分かっていないようです。


一方、PTH製剤やイベニティなどの抗スクレロスチン抗体製剤を投与すると、これらの慢性腰背部痛が軽快することはよく経験します。


骨密度が上がったり骨質が改善すると腰背部痛が軽減する症例では、骨粗鬆症そのものが痛みを生じさせているのかもしれません。


骨粗鬆症の治療は高血圧症などの内科的慢性疾患と同様に思いがちですが、無症状である高血圧症などと異なり、慢性腰背部痛という症状を軽減させる可能性があります。


PTH製剤や抗スクレロスチン抗体製剤は高価な治療薬ですが、慢性腰背部痛を軽減させる可能性を説明すると乗り気になる患者さんが多いので、決めゼリフに使用しています。







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