先日、ばね指の保存治療に関する興味深い研究を拝読しました。千葉大学の山崎厚郎先生による下記の論文です。
A1 pulley stretching treats trigger finger: A1 pulley luminal region under digital flexor tendon traction
最近、ばね指の保存治療として A1 pulleyのストレッチの有用性が報告されるようになりました。今回の研究では、キャダバーを用いてA1 pulleyのストレッチ効果を確認しています。

上の図のように、MP・PIP関節最大屈曲、DIP関節伸展位で罹患指と手掌でブロックを挟みます。この状態でブロックを握ることで屈筋腱が収縮して A1 pulley内腔が増大します。
この「A1 pulleyのストレッチ効果」は、A1 pulley内腔の拡大によって屈筋腱の滑走性を向上させます。なるほど、言われてみればそのとおりですね!
ブロックを30秒握るストレッチを 1日10回以上実施することで、治療開始後1~2ヵ月で効果が得られるそうです。症状をみながらステロイド腱鞘内注射も適宜追加します。
ばね指の保存治療では、広島大学の四宮先生の論文がトリビアでしたが、山崎先生の論文にも驚かされました。今後はばね指の保存治療の柱にしたいと思います。
ちなみに、山崎先生は 5月に幕張で開業されるそうです。その名もくらげ整形外科。くらげに会えるクリニックというコンセプトに驚きました。一度内覧させてもらいたいものです。
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