2020年5月1日に緊急事態宣言が延長されるか否かの重要な判断材料になる新型コロナウイルス感染症対策専門家会議による提言が発表されました。
内容は衝撃的で、4月7日以降の緊急事態宣言と新型コロナウイルス感染症のピークアウトは無関係であったことを示すデータが記載されています。
上図は、東京の発症日ベースの新規発症者数の推移ですが 3月30日がピークです。少なくとも緊急事態宣言が実施された4月7日以前に新規発症者数はピークアウトしています。
一方、全国では 4月1日に新規発症者のピークを迎えています。全国に緊急事態宣言が拡大された4月16日には、すでに新規発症者が劇的に減少していることが分かります。
更に衝撃的なのは、実効再生産数(Re)です。この数字が 1.0以下であれば、感染は収束に向かうため、自粛解除のひとつの指標となります。
直近の実効再生産数のピークは 3月25日ごろで、4月1日には 1.0を下回っています。このように実効再生産数においても、4月7日からの緊急事態宣言の必要性が疑問視されます。
ここまでのデータから言えることは、緊急事態宣言を行う前から新型コロナウイルス感染症はピークアウトしていたという事実です。
後ろ向きに検証すると、4月7日以降の緊急事態宣言は必要なかった可能性が高いことになります。 無論、このことをもって専門家会議の提言を責めることはできません。
当時は専門家会議メンバーもこの数字を把握していなかった可能性が高いからです。しかし、今回の 5月7日からの緊急事態宣言延長はいただけません。
5月1日の提言で、
- 4月1日以降の実効再生産数<1.0
- 緊急事態宣言前の3月28日に新規発症者数はピークアウトしていた
緊急事態宣言が新型コロナのピークアウトと無関係だったにもかかわらず、延長理由が「恐れがある」だけでは到底納得できません。ロジックではなく感覚で言われても困ります。
提言とは関係ないですが、いくつかの小規模な抗体検査研究から市中感染率が1~6%と推定され、その場合には発症率が 0.7~4%、死亡率は 0.04~0.24%となります。
死亡率 20%ならともかく、この数字ではバランスを欠くのでは...。日本の国益にかかわる重大な決定にかかわる資料なので、もう少し論理的な提言が望まれます。
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