先日、Monthly Orthopaedics Vol.33(3) をパラパラ眺めていました。どんなけヒマやねん!と言われそうですが、新型コロナウイルス感染症の受診抑制が続いています...。
さて、今回は脊椎由来の痛み・しびれの診かたという特集でした。その中に、群馬大学の高澤英嗣先生による「背部痛の診かた」という少し珍しい話題がありました。
背部痛を診る機会はそれほど多くないです。整形外科的に背部痛=胸椎疾患なのですが、入り口である単純X線像は軟部組織の存在のため読影しにくく少々苦手意識があります。
内科的疾患の除外は必須なのですが、今回は整形外科疾患に絞った論文でした。背部痛の鑑別診断として下記が挙げられていました。
- 硬膜外血種
- 転移性脊椎腫瘍
- 化膿性脊椎炎
- リン酸カルシウム結晶沈着症(CPPD)
- 硬膜動静脈瘻
- 胸椎椎間板ヘルニア
- 成人脊柱変形(ASD)
- 成人期の脊椎係留症候群
⑤硬膜動静脈瘻は、私にとって初めてきく疾患です。MRIで脊髄円錐部に特徴的な所見があるので、今後は見逃さないように注意しようと思いました。
⑤硬膜動静脈瘻も含めて、すべてMRIで診断可能だと思います。背部痛で「おかしい」と思ったら、胸椎MRI撮像で問題なさそうです。勉強になりました。
一方、今回の鑑別診断のなかで、多発性骨髄腫が挙げられていなかったのは少し残念に思いました。臨床的には決して稀ではないですが、見逃されやすいと感じているからです。
多発性骨髄腫にかんしては、こちらにまとめています。とぜん先生のブログと併せて、ご参考にしていただければ幸いです。
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