先日、久し振りに足趾の爪外傷の患者さんの治療を行いました。母趾末節骨開放骨折に併発しており、足趾の爪は中枢側と末梢側で割れていました。


周知のように、爪はシーネのような役割を果たします。したがって、爪が割れていても、可能なかぎり抜爪しない方が骨癒合率も高まり、患者さんのADLも向上します。


このような爪外傷を治療する機会は、整形外科医よりも救急科や外科の医師の方が多いかもしれません。そしてありがちなのは爪を抜爪してしまうことです。


爪が無いと末節骨の偽関節化率が高まり、また爪変形もきたしやすくなります。このような症例では、私は爪をアロンアルファなどの瞬間接着剤で割れた爪表面を修復しています。


 
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(ファミリー薬局から抜粋)



爪甲が爪床から剥がれていない場合、アロンアルファなどの瞬間接着剤で割れた爪表面を修復すると、あっという間に爪が「治るのです。


爪甲が爪床から剥がれている場合であっても、できるだけ抜爪しません。剥がれかかった爪を周囲に縫合した後、アロンアルファで爪甲の修復を行います。


手の爪は1日あたり約 0.1mm伸びます。つまり1ヵ月で約 3mmしか伸びません。このため抜爪すると完全に生え変わるのに約 3~6ヵ月も掛かります。


更に、足趾では1年近く掛かってしまうのです。その間爪が無い生活を送らなければいけないので、患者さんのADL上も快適とは言い難い状況になります。


具体的な手法は下記のごとくです。
  1. 割れた爪同士をぴったり合わせる。
  2. 2つの爪の間から血液もしくは淡血清の滲出液が爪表面に漏出するので、ガーゼ等でふき取って爪甲表面を乾いた状態にする
  3. 瞬間接着剤を爪が割れている部分に塗布する
  4. 瞬間接着剤が固まるまで数分間は爪をぴったり合わせたまま圧迫力を加え続ける


ピットフォールは、①瞬間接着剤が固まるまで数分間かかること ②塗布する瞬間接着剤の量が多いと爪郭にこぼれたり固着するのに時間がかかるので少なめにすること です。






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