先日、授乳中の若い女性が右手関節橈側痛で受診しました。整形外科医なら問診だけでドケルバン病(de Quervain病)だと分かりますね。


ご存知のように周産期はホルモンバランスの影響で、ばね指やドケルバン病などの狭窄性腱鞘炎を併発しやすいです。


周産期の患者さんに対しては、消炎鎮痛剤やロコアテープの処方ができません。かと言って外用剤の効果はほぼ無いです。


普通に考えると胎児や児に影響の少ないステロイド剤の腱鞘内注射が第一選択なのでしょうが、ドケルバン病では浅橈骨神経損傷の可能性があり少し気持ち悪いですね。


腱鞘内注射以外の保存治療として、ばね指であれば A1 pulleyのストレッチが第一選択となりますが、ドケルバン病では適切なものがありません。


いろいろ考えてみたのですが、ふとテーピングがあるのを思い出しました。ちょうど外来に幅広の伸縮性テープがあったので、APLの走行に沿ってテープを貼付しました。


すると、これだけでもかなりの除痛効果がありました。本式ならアンカーテープを使用しますが、幅広のテープであればアンカー無しでも大丈夫そうです。


周産期の人に対する狭窄性腱鞘炎の治療選択肢では、ばね指には A1 pulleyのストレッチがありましたが、ドケルバン病ではテーピングが欠けていたピースとなりました。






★★ 管理人お勧めの医学書 ★★
  


オーストラリア理学療法協会のスポーツ理学療法士による実践的な教科書です。
治療的テーピングの概要を学ぶことができます。