先日、70歳台の方が左下肢の歩きにくさを主訴に初診されました。1カ月前に、溝に足をつっこんでから、疼痛が無いのに歩きにくいとのことです。


左足関節と足部を診察すると、わずかに腫脹が残存していますが叩打痛はありません。単純X線像でも明らかな骨折を認めませんでした。


しかし、実際に診察室内で歩いてもらうと、たしかに跛行があるようです。一体何なのでしょう? 左足関節と足趾を動かしてもらうと、ぎこちないですが自動運動できます。


よく診察すると最も腫脹が残存しているのは、足関節よりやや中枢側でした。もしかするとアキレス腱断裂?と思ってアキレス腱を触知すると、何となくそれっぽいモノがあります。


腹臥位になってもらい、Thompson testを実施すると陽性でした! この状態でアキレス腱のレリーフを触知しましたが、やはりなんとなくそれっぽいモノがあります...。


なるほど、この方は1ヵ月前にアキレス腱断裂を受傷したものの、そうとは知らずに放置していたため、陳旧性アキレス腱断裂の状態になったようです。


若年者ならアキレス腱が断裂していることに気付かない症例は稀でしょうが、高齢者や受傷機転しだいでは、アキレス腱が断裂したことに気付かない症例があることを学びました。






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