先日、大腿骨頚部骨折の人工骨頭置換術がありました。
私は、THAはセメントレスですが、術後合併症の少なさから人工骨頭はセメント派です。


では、どのようなステムを使用しているのかと言うと、最近はMicroPortのProfemur Xmというポリッシュテーパー+チェンジャブルネックという「いいとこ取り」の機種です。

profemur-xm-hip-stem-side - コピー

良好な長期成績が見込めるポリッシュテーパーに加えて、セメントステムの欠点である一発勝負的な要素を軽減できるチェンジャブルネックの選択肢はまさに最強に見えます。


では、この一見素晴らしい特徴をもったステムは、実際にはどんな感じなのでしょうか?何度か使用した感想は、このステムにも改善するべき点がいくつかありました。


まず、このステムは近位の形状がバルキーです。メーカーの方にお伺いしたところ、これぐらい大きくしておかないとチェンジャブルネックの強度を保てないとのことでした。


ステムの近位が大きいので、高齢日本人女性のサイズに合いません。多くの症例で、最も小さなサイズのステムを入れることさえ一苦労です。


しかも、最小サイズのステムのみ、ラスプが日本仕様のようで非常にプアです。ラスプ表面の歯が粗なのでなかなかラスピングできず、また術中骨折併発可能性が高まります。


チェンジャブルネックを採用している以上、ステム近位の形状変更は難しそうです。しかしラスプはもう少しマシなものを作成できるはずなので、メーカーは善処して欲しいですね。







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