リウマチNEWS LETTER 69で、興味深い海外留学体験記がありました。産業医大第一内科の園本先生による「集中しすぎて見えていなかったもの」です。
3年間のドイツ留学中は、8か国の出身者から成る研究グループに所属していたそうです。園本先生は、メンバーの普段の振る舞いを観察し、①アジア型 ②欧州型に分類しました。
- アジア型:脇目もふらず集中して、夜遅くまで土日なく仕事をする
- 欧州型:助け合いながら和気あいあいと仕事をして17時には退勤する
中国人や日本人には黙々と自分一人で仕事を行うアジア型が多いですが、データを出してくるのは欧州人および欧州型の中国人だそうです。
なぜ結果をだせるのかの理由をきくと「一人でやるよりみんなでやった方が早いでしょ」という返答だったそうです。園本先生も欧州型に転向して、充実した留学生活を送りました。
今回の話は含蓄に富むと思います。方法論が確立されている大学受験までは、アジア型が強いと思います。日本・中国・韓国のような激烈な受験戦争を勝ち残るのはこのタイプです。
しかし、実社会や研究などの複雑系が支配する未知の領域を手探りで進む場合には、自分独りで黙々と仕事をするアプローチは多様性が無いため、実は効率が悪いです。
受験競争の勝者である医師は、日本人の中でも更にアジア型の強い人が多い傾向にあります。しかし昔勝った方法論を実社会にまで引きずっていると結果を出すことはできません。
臨床・研究も含めたリアルワールドで結果を出すためには、周囲と協業していく姿勢が重要です。今回の海外留学体験記はなかなか味わい深いと思いました。
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初学者が関節リウマチの治療体系を俯瞰するにあたり、最もお勧めの書籍です