日整会広報室ニュースの第125号に興味深い記事がありました。人工関節置換術で局所の神経や血管を損傷した場合、合併症として免責されるか? です。


伝聞による記事+著者が股関節外科医ではないので、非常に分かりにくい内容です。おそらく著者自身があまり理解せずに記載している感が満載なので、私なりに意訳してみました。


まず、関節外科医がもっとも興味を持つであろう「
神経や血管を損傷した場合、合併症として免責されるか?」に対する回答は、免責されないとなっています。


ただし、今回の医事紛争は股関節外科医的には少々考え難い状況です。なぜか、手術時に線鋸(ギグリ)で坐骨神経の一部を損傷したとあります。


線鋸(ギグリ)で坐骨神経を損傷??? 
キアリ骨盤骨切り術なら分かるのですが、THA中にいったいどのような状況で線鋸(ギグリ)を使用したのか理解できません。


もしかしたらボーンソーで坐骨神経を一部損傷した可能性もありますが、そうであれば線鋸(ギグリ)と記載するはずがないです。


一般紙で報道される医療訴訟のような、医師にとって到底理解できないトンデモ状況が、よりにもよって専門誌であるはずの日整会誌で展開されています...。


手術の状況(通常の状況なのか否か)がまったく分からないので、今回の症例をもって、術中の神経・血管損傷は合併症として免責されないとは言えないと思います。



その意味で、タイトルがキャッチーでミスリードの記事と言えます。今回の記事を読んでも免責されるか否かは分かりません。もう少し教育的な記事を掲載して欲しいと思いました。






★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

 
初学者がTHAの治療体系を俯瞰するにあたり、最もお勧めの書籍です