私は透析患者さんを日常的に診察している関係で、脊椎のチェックも行う機会が多いです。先日、血液透析歴10年以上の年季の入った患者さんが両上肢のしびれで受診しました。


頚椎の単純X線像を確認したところ、C2/3/4で不安定性を認めました。これっていわゆる破壊性脊椎関節症じゃないだろうか???


破壊性脊椎関節症(destructivespondyloarthropathy;DSA)は透析アミロイドーシスの一種で、下記が特徴のようです。

  • 脊椎板腔の狭小化
  • 椎体終板の破壊像や骨のう胞
  • 椎間関節の破壊像(CT)
  • 椎体の亜脱臼


アミロイドの沈着のために椎間板や椎間関節が破壊されることによって、脊椎不安定性が惹起されます。脊椎不安定性は脊髄症状を併発するため、固定術を検討する必要があります。


しかし、破壊性脊椎関節症の固定術後には、隣接椎間障害や内固定材料のゆるみなどの問題が高率に発生するそうです。


関節外科医の私には馴染みの無い疾患ですが、透析患者さんを診察する際には見逃さないように注意しなければいけないと思いました。







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