先日、人工股関節全置換術(THA)後の患者さんが転倒されました。かなりの圧痛と叩打痛があるのでステム周囲骨折を疑いました。
ところが単純X線像では明らかな骨折を認めませんでした。CTも施行したのですが、ステムのアーチファクトのために、肝心のステム周囲の状態は判然としません。
こりゃ困ったなぁと思っていましたが、ふと関節のMRIの人工関節合併症の章で人工股関節全置換術後感染の画像があったことを思い出しました。
そこで提示されていた画像は人工関節のみブラックアウトしていましたが、ステム周囲の骨髄浮腫や膿瘍が描出されていたのです。
チラ見したときは「MRIって、CTと違ってステムのアーチファクトがほとんど無いんだな」と思っただけでスルーしていたのですが、実はコレって臨床でメチャクチャ有用かも!
そこで今回の症例で MRIを施行したところ、やはりステムのアーチファクトはほぼ無く、大転子部の骨折が確認できました。
単純X線像で確認できないレベルのステム周囲骨折では、CTよりも MRIが第一選択だと思いました。
★★★ 管理人 お勧めの医学書 ★★★
初学者がTHAの治療体系を俯瞰するにあたり、最もお勧めの書籍です