先日、自分史上最大のカップになるかも? という患者さんの人工股関節全置換術(THA)がありました。術前の予定サイズは 58mmもしくは 56mmです。


カップが大きいとスクリューを挿入する操作がラクですが、リーミングやカップ挿入などの寛骨臼内の操作が難しくなります。


そこで、今回は短外旋筋群の温存はしないことにしました。いつもは内閉鎖筋より中枢側は温存しているのですが、梨状筋以外は温存せずにバッサリ切離しました。


その代わりに関節包は L字状に切開して中枢側を温存しました。これだけでもずいぶん寛骨臼内の操作はラクになります。


大阪大学の高尾先生の研究では、短外旋筋群よりも関節包の温存が関節安定性に寄与するそうです。この研究に勇気付けられ、短外旋筋群はバッサリ切離して関節包のみ温存です。


すでに人工骨頭置換術に関しては、
高齢者の脆弱骨に気を遣って関節包温存にコンバージョンしています。関節包温存であれば、普通の展開とさほど変わらないからです。


一方、THAに関しては相変わらず短外旋筋群を温存していましたが、関節包温存のみでも関節安定性を得られるのであれば、ラクな方が良い気がしてきました。


水の低きに就くが如し(笑)と言いますが、苦労して
短外旋筋群を温存するよりも関節包温存のみに留めて安全かつストレスフリーな術式に趣旨替えしようかな...。






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初学者がTHAの治療体系を俯瞰するにあたり、最もお勧めの書籍です