肩甲上腕反射(SHR; Scapulohumeral Reflex)をご存知でしょうか? SHRは、C1~C4脊髄節が反射中枢となっている反射弓です。


臨床的には、下顎反射(第5脳神経)と上腕二頭筋反射(C5~6脊髄節)の間の反射中枢のギャップ(C1~C4脊髄節)を埋める意味合いがあります。



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具体的な手技ですが、座位の患者の肩峰もしくは肩甲棘を打腱器で叩いたときに、C1~C4脊髄節に異常があると、肩甲骨の挙上あるいは上腕の外転を認めます。


正常例では、肩峰もしくは肩甲棘を打腱器で叩いても、肩甲骨の挙上や上腕の外転は誘発されません。つまり、BabinskiやHoffman反射のように陽性になると異常な反射なのです。


私は当初、SHR -/-という記載は異常な状況だと思っていました。しかし、よく調べてみると、SHRでは反射が出ないことが正常な状況のようです。


上腕二頭筋腱反射や腕橈骨筋反射と比較してあまり有名ではないですが、上位頚髄に異常を認める際には、実施する必要性のある反射だと思います。






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