先日、50歳ぐらいの方が、階段を昇る際の膝蓋骨の裏あたりの疼痛で初診されました。職業はトラック運転手なので重量物を挙上することが多いです。


この問診だけで膝蓋下脂肪体炎を強く疑うことになります。膝蓋下脂肪体炎は、スポーツや仕事による過負荷で発症しやすいです。


膝蓋下脂肪体炎の原因は、外傷や繰り返しの小外傷などと言われており、膝蓋下脂肪体の慢性炎症から線維性肥厚を生じて、いわゆる Hoffa 病となります。


身体所見としては Hoffa signが有名で、膝蓋下を押さえながら膝関節を屈曲位から伸展していくと、同部位に圧痛が出現します。


膝蓋下脂肪体炎の治療は、急性期では安静が必要ですが、慢性期では大腿四頭筋の内側広筋の筋力増強を目的とした理学療法が推奨されます。


局所安静や理学療法で効果が不十分な場合には、膝蓋下脂肪体にステロイド局注が有効であることも多いです。


一方、保存的治療で痛みが軽快しない場合には、関節鏡による脂肪体部分切除術の有用性も報告されています。


膝蓋下脂肪体炎は症状がしつこい場合が多いですが、オーバーユースであることを患者さんに説明して局所安静を促すことが第一だと考えています。





★★ 管理人お勧めの医学書 ★★
  


オーストラリア理学療法協会のスポーツ理学療法士による実践的な教科書です。
治療的テーピングの概要を学ぶことができます。