先日、第5中足骨骨折の手術を施行しました。人によって選ぶ術式に差があると思いますが、私はプレート固定ではなく、より短時間で侵襲の少ない経皮的骨接合術が好きです。
経皮的骨接合術は簡単に見えますが、下記理由で意外と難しいと感じています。
- 足部の中のどのあたりに中足骨があるのかイメージしにくい
- 牽引するだけで戻らない場合には、クローズでの整復はなかなか難しい。
このような手術をする場合には、私は下記の3段構えで臨みます。
- 牽引
- 鉗子で整復
- intrafocal pinning
そして②鉗子で整復する場合には、鉗子先端でピンポイントで骨を把持するのではなく、鉗子のカーブ部分全体で骨を包み込むようにして整復するのがポイントだと思います。
3mmほどの小切開を加えて鉗子を皮下に挿入します。透視下に鉗子で整復しますが、先端部分で整復しようとしてもなかなかうまくいきません。
私も一応は鉗子の先端で骨折部を整復しようと試みますがたいていダメです。その場合には深追いせず、鉗子のカーブ部分全体でクワガタ鉗子のように整復します。
慣れれば10~20分で低侵襲にできるので、プレート固定と比べて優位性があると思います。ただし、プレート固定術より難しいのに手術点数が極端に低いことが難点です...。
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あくまで個人的意見ですが、pinning にこだわるなら、Foucherでいくべき症例だと思います。どのみち多少は短縮しますから。
ちなみにこの骨折形なら、私はplate 一択です。開けて、牽引しながら骨把持鉗子ではなくセルフセンタリングで整復し、VariAx等を用いたロッキングプレート固定とします。腱走行とはズレているので癒着はありませんし、短縮もなし、早期荷重可能、ピントラブル皆無、抜釘を要する症例も今のところありません。Win-winです。