変形性股関節症の患者さんのフォローをしていると、ときどき股関節部痛が増悪したといって手術希望で予約を繰り上げて再診する患者さんがいます。
もちろん、できるだけ早期に人工股関節全置換術(THA)を施行できるように手配するのですが、殿部痛が増悪した患者さんでは慎重な対応が必要です。
殿痛は腰椎由来でしょ!と思いがちですが、たくさんの変形性股関節症の患者さんをフォローしていると、意外と殿部痛も股関節由来であることが多いことに気付きます。
THAを施行すると殿部痛も消失することが多いのです。このため、殿部痛の由来が股関節か腰椎かで悩むことになります。
もっともクリアな方法が股関節へのキシロカインテストですが、コレをすると3ヵ月はTHAをできなくなるというデメリットがあります。
次善の策として、Patrick testを施行して誘発される痛みの種類が殿部痛と似た感じの痛みであるか否かを聴取することにしています。
MRIで股関節周囲の骨髄浮腫をみるという手もありますが、骨髄浮腫があるからと言って殿部痛=股関節由来と言えないので、最近ではあまり施行していません。
このように変形性股関節症の患者の殿部痛増悪時には治療法で悩むことが多いです。何かクリアカットな方法は無いものでしょうか...。
初学者が股関節外科の基礎および治療体系を学習するにあたり最もお勧めの書籍です。日本を代表する執筆陣が股関節外科に関するあらゆる事項を、非常に分かりやすく解説しています。この1冊があれば股関節外科のほぼ全ての疑問点を解消できると思います。
関節内注射は、おっしゃる通り感染リスクで気味が悪いので、THA前に腰椎か股関節か自身がないとき施行してました。