大腿骨近位部骨折の症例では、肺炎等を併発 → しんどくなって転倒 → 大腿骨近位部骨折を併発 という流れが多いという刷り込みが私にはあります。
大腿骨近位部骨折で搬送されてきた症例で肺炎を併発している方があまりに多かったので、この仮説はかなりの頻度で該当すると感じていました。
しかし、思い込みがキツ過ぎて、いつの頃からか発熱+酸素飽和度低下+大腿骨近位部骨折=肺炎を併発している、と考えるようになりました。
もちろん、そのような症例の多くは実際に肺炎を併発しているわけですが、ときどきそうではない症例も紛れていることに気付きました。例えば下記のような症例です。
- 骨折してから1~2日経過している
- 肥満
- 肋骨骨折を併発
肺塞栓症の除外診断ができていれば、発熱+酸素飽和度低下があれば肺炎でしょと思いますが、意外と胸部CTでは肺炎像が無いことも多いです。
一応、スルバクタムナトリウムを投与しながら手術に臨むのですが、単に骨折して体動困難なので呼吸が浅い+骨折による熱発というパターンもあるように感じます。
データも大切ですが、患者さんが呼吸苦を訴えていないようであれば、骨折による熱発+低換気というパターンもあることを頭の片隅に置いても良いかもしれません。
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