大腿骨近位部骨折の患者では膝関節水腫を併発していることが多いです。しかし、なぜ大腿骨近位部骨折に膝関節水腫を併発するのでしょうか?


先日、受傷後5日目に大腿骨頚部骨折患者さんに人工骨頭置換術を施行したのですが、体位変換する際に、患側の膝関節に水腫があることを発見しました。


私の中では、大腿骨転子部骨折ではほぼ全例、大腿骨頚部骨折でも、術前からかなりの症例で膝関節水腫を併発している印象を受けます。


そこで、大腿骨近位部骨折の患者に膝関節水腫が併発しやすい理由を考察してみました。まず考えるべきことは、受傷前から膝関節水腫を併発している可能性です。


しかし、このことに関しては搬送時には膝関節水腫を併発している症例は多くない印象を受けています。あくまで私の感覚であり、n=0でエビデンスはありませんが...。


このため受傷後しばらくして膝関節水腫が出現するのではないかと考えています。大腿骨近位部骨折では骨髄から出血するため、股関節周囲の組織がかなり腫脹します。


このため静脈やリンパ還流が阻害されて患肢に静脈うっ滞を併発し、これが膝関節水腫の原因になるのではないかと考えています。


その理由として、大腿骨転子部骨折の方が大腿骨頚部骨折と比較して、膝関節水腫併発率が多い印象を受けるからです。


大腿骨近位部骨折に膝関節水腫を併発しているからと言って、経過に大きな影響を与えることはありません。


このためあまり臨床的には重視されていませんが、純粋な整形外科医としての興味があったため考察してみました。理由をご存知の方がいらっしゃれば、是非ご教示ください!





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