ヘバーデン結節は極期の半年ほどを乗りきると疼痛が緩和していきます。このため mucous cystの自壊を繰り返すような症例を除けば保存治療を行うことがほとんどです。


しかしときどき疼痛が軽快しないため手術希望される患者さんが居ます。了解、それじゃDIP関節の固定術を行いましょうと言いがちですが、ちょっと待ってください。


DIP関節固定術は意外と難しいと感じています。DIP関節なんて表層の関節なんだから容易でしょ、と思いがちですが実はいくつかピットフォールがあります。


最大の問題点は内固定材料の選択および挿入法です。関節固定なので強固な固定を目指したいところです。このため Acutrakや DTJスクリューを選択することが多いです。


たしかにこれらの内固定材料がうまく挿入できれば強固な固定性を獲得できますが、挿入する際の角度が問題となります。


中節骨・末節骨とも小さな骨なので、かなり強斜位に挿入しないとうまく固定できないのです。しかもスクリュー挿入時に中節骨の皮質が割れてしまうこともあります...。


私個人の好みではありますが、術中に Acutrakや DTJスクリューの挿入が難しそうだと判断すれば、躊躇なくC-wireの cross pinningにコンバージョンします。


結論的には DIP関節の固定術を舐めてはいけません。それなりに難しい手術であると認識して手術に臨むべきだと思います。






★★ 管理人お勧めの医学書 ★★
 


広島大学名誉教授の津下先生による、手の外科における必須の医学書です。特に、「私の手の外科」は津下先生直筆のイラストが豊富で、非常に分かりやすく実践的な医学書です。