先日、10歳の子供の舟状骨骨折を診ました。
小学生なので骨端線は残っています。


舟状骨と橈骨遠位端の骨端線では後者の方が解剖学的に脆いので、ほとんどの症例は橈骨遠位骨端離開もしくは橈骨遠位骨幹端の若木骨折になると思われます。



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このため、小学生では舟状骨骨折はあまり考えていませんでしたが、単純X線像の手関節正面像で舟状骨橈側皮質に不整な所見があったのでアレっ?と思いました。


もう一度触診すると解剖学的タバコ窩に腫脹と圧痛がありました。そこで舟状骨5方向を撮影したのですが、少なくとも正面像では骨折は分かりません。



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しかし、上図では舟状骨背側にわずかですが皮質の不整像を認めます。う~ん、これは舟状骨骨折かもしれないな...。MRIを撮像すると下図のような所見でした。



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舟状骨の尺側は破綻していなさそうなので bone bruiseかもしれませんが、一応は舟状骨骨折として治療した方が良さそうです。


これまで小学生以下の骨端線が閉じていない症例では、舟状骨骨折はあまり発生しないと思っていました。しかし今回の経験でその考えは誤っていることを認識しました。






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