先日、長年にわたって人工関節全置換術の術後フォローしている顔見知りの超高齢者が転倒して搬送されてきました。
幸い骨折はなかったのですが、下肢に大きな皮下血種を形成してしまったため帰院が困難です。とりあえず安静入院してもらいましたが、リハビリテーションが問題になりました。
骨折があれば運動器リハビリテーションを算定できますが打撲や皮下血種では不可です。超高齢者なので、単に安静入院しているだけでは ADLが落ちることは目に見えています。
なんとしてもリハビリテーションは実施したいのですが、このままでは13単位以下しか不可です。何とか解決策を見つけようと無い知恵を絞りだしましたが何も思いつきません。
そこで医事課の回復期専門スタッフに相談すると「運動器不安定症」を提案されました! 運動器不安定症とは聞きなれない疾患ですが、日整会のHPにも記載されています。
「運動器不安定症」は、例えば「歩行時にふらついて転倒しやすい、関節に痛みがあって思わずよろける、骨に脆弱性があって軽微な外傷で骨折してしまう」などの病態を疾患としてとらえ、それに対する運動療法などの治療を行うことによって重篤な運動器障害を防ぐことを目的にこの病態を認識していただくために命名された疾患概念です。
まさに今回の患者さんにぴったりの状態です。この傷病名があれば運動器リハビリテーションが算定できます。骨折の無い症例では使い勝手がとても良さそうです。
これまで骨折は無いもののリハビリテーションが必要な症例では廃用症候群などを使用していましたが、廃用の判定しなければいけないので心理的抵抗感がありました。
これからは患者さんが転倒しやすい等の状況に合致していれば、積極的に運動器不安定症を使っていこうと思います。
★★ 管理人お勧めの医学書 ★★
オーストラリア理学療法協会のスポーツ理学療法士による実践的な教科書です。
治療的テーピングの概要を学ぶことができます。