人工関節周囲骨折は治療が難しいです。人工関節屋さんでなくても、人工骨頭置換術後のステム周囲骨折があるので、すべての整形外科医が症例を受け持つ可能性があります。
この歳になっても未だに人工関節周囲骨折がくると憂鬱になるのですが、その理由は手術手技の難しさと、一体どれぐらい手術時間がかかるのか予想できない点に尽きます。
インプラントと骨の安定性が毀損されると再置換術が必要です。セメントステムの人工関節周囲骨折の場合は、セメント除去+骨接合+再置換術という 3つものステップが必要です。
う~ん、考えただけで憂鬱になりますね...。できるだけ再置換術を避けたいので骨接合術に逃げがちです。しかし、海外のレジストリーでは明らかに骨接合術の成績は落ちます。
もちろん骨折型によって術式は決められるべきなのですが、現実論として待ったなしの骨折症例では各施設の能力の上限を超えている症例も多いことでしょう。
成績が不良になることを覚悟したうえで骨接合術を選択する場合が多いですが、実は一期的に手術をしてしまおうと考えるからしんどい術式になるとも言えます。
1期的にセメント除去+骨接合術+再置換術までしなくても、まずセメント除去+骨接合術を施行してから、2期的に再置換術を施行するという考え方もあります。
2期的に手術を行うメリットとしては、患者さんへの侵襲が小さいため合併症併発率を抑えられること、および専門医を招聘することで万全の体制で再置換術を実施できることです。
コロンブスの卵的な発想ですが、人工関節周囲骨折を必ず 1期的に施行しなければいけないルールがあるわけではありません。自施設の実力に応じて柔軟に考えると良いと思います。
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