先日、上腕骨近位端骨折の髄内釘を施行しました。
大腿骨近位部骨折と比較して数が少ないので手術は新鮮な気持ちで臨みました。



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派手に転位していたので、大腿骨近位部骨折に準じて牽引した状態を確認してみました。残念ながら上腕骨近位部は90度回転したままです...。


側面でも全く整復位は取れていないので、最初からjoy stickで整復することに決めました。3.0 K-wireを刺入すると、そこそこ整復されます。


しかし、ガイドワイヤーが末梢側にぜんぜん通りません。そこで玉付きガイドワイヤーに変更して、末梢側に誘導しやすいように先端を少しだけ曲げました。


首尾良く末梢側の髄内に挿入できましたが、ナントほんの少し曲げただけなのに上腕骨ネイルが挿入できないのです。


メーカーに確認したところ、上腕骨ネイルは大腿骨ネイルと比較して径が細いので、少しでも曲げるとネイルが通らなくなるとのことでした...。


しかも玉付きガイドワイヤーは1本しか無く、一度曲げたガイドワイヤーは真っすぐしたように見えてもネイルがうまく通りません。


やむを得ず、エントリーで使用した先端が鋭のガイドワイヤを首尾逆にして末梢側に誘導しました。手許側が鋭なので注意が必要です。



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上腕骨ネイルでは、ガイドワイヤーを少しでも曲げると通らないというピットフォールがあるのですね。勉強になりました。







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