先日、50歳代の患者さんの人工股関節全置換術(THA)がありました。比較的若年者で変形も高度ではなかったのですが、ピットフォールがあったのでご紹介します。


ほとんど問題点の無い患者さんだったので手術は定型的に進んでいきます。しかし最後のヘッドを選択する際に問題が発生しました。-4mmでは股関節内旋60度で脱臼するのです。


まぁ安定していると言えば安定しているのですが、欲を言えば脱臼しない方が望ましいです。0mmでは脱臼せず安定します。しかしキックテストを実施すると膝関節100度です。


う~ん、この膝の固さではキックテスト陽性だな...。仕方なく再度
-4mmを試したのですが、まさかの膝関節100度でキックテスト陽性です。これは何なんだ???


牽引して股関節の緊張度を確認しましたが、-4mm  0mmともたいして緊張感がありません。いったい何故なんだ??


しばらく考え込んでいると、ふとこの患者さんは同側膝関節の TKAも予定していることを思い出しました。年齢が 50歳代なので膝関節の OAの存在を忘れていたのです...。


そうと分かれば問答無用で 
0mmを選択することになります。しかし膝関節の OAに気付かなければ-4mmを選択するところでした。


若くて何の問題も無いと高を食っていたのですが、危なく最後のインプラント選択でベストチョイスを外すところでした。危ないアブナイ...。






管理人 お勧めの医学書

 
初学者がTHAの治療体系を俯瞰するにあたり、最もお勧めの書籍です