日整会誌 95: 813-814 2021に手術部位感染(SSI)に関するシンポジウムが掲載されていました。聖マリアンナ医科大学・鳥居先生の整形外科手術部位感染原因菌の侵入経路です。


鳥居先生の研究のノイエスは、挿管や胃管挿入時の手技で菌血症が発生することです。経鼻挿管、経口挿管とも 10%程度の頻度で菌血症を認めました。


菌血症が発生する原因として下記要因を推察されています。

  • 挿管や胃管操作による上気道粘膜損傷
  • 挿管チューブの気管粘膜圧迫



つまり、何らかの物理的原因で粘膜を損傷することが菌血症を惹起することを想定されているようです。しかし、ここでひとつの疑問が出てきます。


それは今回の研究において、菌血症で検出される菌は口腔内の常在菌であり、整形外科領域の SSIで最も多い MSSAではない点です。


たしかに挿管操作で菌血症は発生するかもしれません。しかし、整形外科領域で問題となる SSIの原因としては、挿管操作はさほど問題にならないのではないでしょうか。


もちろんそうであったとしても、愛護的な挿管操作と口腔ケアの重症性が低くなることは無いと思います。







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