昨日の人工関節周囲感染(PJI)でも話題になりましたが、やはり術後感染の併発率を抑えるためには手術時間をできるだけ短くする必要がありそうです。


一流の股関節外科医であれば通常の THAなら 30~40分で終了します。しかし非才の身では 1時間の壁はかなり高いと感じています...。1時間 2分はあっても 58分は無いのです。


それでも 1時間の壁を越えるべく、日々涙ぐましい(?)試行錯誤を繰り返しています。先日は寛骨臼内の操作を月状窩から開始してみました。


その理由は寛骨臼内の操作において月状窩が最も出血しやすいからです。この部位には円靭帯に至る動脈が存在する症例があります。このため出血すると少し時間をとられます。


ピンポイントで凝固止血できればベストですが、なかなかうまくいかないことが多いです。その場合にはボスミン生食ガーゼを詰めて圧迫止血しますがその時間がもったいないです。


寛骨臼内の操作を月状窩から開始すると、仮に出血してもボスミン生食ガーゼを詰めて圧迫止血している間に、寛骨臼縁の操作が可能です。これで1分程度の時間を稼げるはずです。


まぁ、月状窩から出血しなければ手術時間短縮にはならないのですが、このような細かい手技の改善の積み重ねが手術時間短縮につながると信じています...。





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