連日の手術ピットフォールネタです。
今回は人工膝関節全置換術(TKA)で少々残念なことが発生しました。


大腿骨の骨切り角度の屈曲がやや強めになってしまいました。通常は屈曲3度で骨切りしていますが、今回は7度ほど屈曲がついてしまいました。


私は KneeAlign2を使用していますが、今回のようなケースは初めての経験です。これまでの経験では、
KneeAlign2は極めて正確な骨切りが可能という認識でした。


術中、本当にこの角度で大丈夫かな?と感じた場合であっても、術後単純X線像ではバッチリであることがほとんどだったのです。


このため、術中の自分の判断よりも 
KneeAlign2の性能を信じるようになりました。しかし今回の一件で KneeAlign2と言えども完璧ではないことを思い知りました。


KneeAlign2は基本的には極めて正確な骨切りが可能ですが、KneeAlign2が failureする場合には大きく外れてしまうそうです。今回の症例はまれにこれに該当すると思います。


術中判断の重要さが上昇しましたが、これまでの数多くの症例でほぼ100%近い正確さを示してきた KneeAlign2に対して、術中に異議申し立てするのはかなり勇気が要ります。


KneeAlign2の問題点は、角度の判断軸がブラックボックスであることです。このあたりは AIの判断がブラックボックスであることと近似しているかもしれません。


優秀なデバイスであることは間違いないですが、100%信頼するのは厳しそう...。自分の目よりも正確そうなだけに、術中判断に迷ってしまいそうです。






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初学者がTKAの治療体系を俯瞰するにあたり、最もお勧めの書籍です