関節外科医にとって、最も嫌なイベントのひとつに術後感染があります。感染すると患者さん・主治医とも、とんでもない不利益を被ってしまうので忌避するべき合併症です。
いくら入念に感染対策を行っても、併発可能性をゼロにすることはできません。一般的にハイボリュームセンターでは発生率が低いもののゼロにできないことは悩みを深くします。
そして更に厄介なことは、術後感染は滅多に発生しないことです。私の医師人生の中では2回経験していますが、詳細を思い出すことが難しいため前回経験を活かしにくいです。
このような時に役立つのは過去の感染症例の診療録です。発生時の経過や血液生化学検査データ、そして局所所見を含めた治療歴などの貴重な記録がすべて記載されています。
先日、その記録を見返す機会がありましたが、記憶の中にある経過や所見とずいぶん異なることに気付かされました。やはり人間の記憶がかなり曖昧なようです。
このような診療録は「羅針盤」として絶大な威力を発揮します。たしかに正書を紐解くと術後感染についての大量の文献がありますが、実際に目の前に居る患者さんとは異なります。
知りたいと思う微に入り細を穿つ経過を、一般化された正書だけで把握することは不可能です。思い悩む症例を治療するにあたって過去診療録の価値は絶大なのです。
重篤な合併症を併発した症例の診療録は、個人情報を消去したうえで手許に厳重に保管しておくのも一法だと思います。
苦しかった症例は忘れたくなるモノですが、何年かしてその診療録のおかげで救われる患者さんが居るかもしれませんから...。
管理人 お勧めの医学書
感染症治療で最もお勧めの書籍です。Grandeと小さいサイズがあり内容は同じです。小さいサイズの方が安いですが、常に携帯する医師を除けば見やすいGrandeがお勧めです。
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