周術期の低体温は忌避するべき状態です。周術期低体温による術後合併症には下記のようなものがあります。


  • 感染率上昇
  • 心疾患リスクの増加
  • 出血および輸血の必要性の増加
  • 薬物代謝・覚醒遅延
  • 皮膚障害・褥瘡


主治医として特に憂慮される点は感染率上昇でしょう。消化器外科の待機的結腸直腸手術の研究では、正常体温群と比較して約 4倍もの感染率上昇を認めました。


かなり前のことですが、真冬に病院の空調設備が故障したために病室の気温が低下してしまい、出室前に低体温をきたしてしまった症例がありました。


やむを得ないこととは言え、そのまま手術を施行した場合には種々の合併症を併発するリスクが高まります。判断が難しかったですが、手術を延期したことがありました。


病室の温度コントロールができない状態というのは頻回にあるわけではないですが、特に冬場にそのような事態が発生した場合には慎重な対応が必要だと思いました。






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