先日、人工股関節全置換術後のポリエチレンライナー交換がありました。たかがポリエチレンライナー交換と思いがちですが、初回手術よりも難しいので注意が必要です。
ポリエチレンライナー交換が難しい理由は、主に下記の2点に集約されます。
- 人工関節周囲の軟部組織を切離するので易脱臼性が出現することがある
- ステムネックが邪魔になってポリエチレンライナーを設置することが難しい
①に対してはリップ付きのポリエチレンライナーや従前よりも長いサイズの骨頭を使用することで対応可能ですが、過度に軟部組織を切離することを避ける必要があります。
問題は②なのですが、患者さんの体型によっても難易度が異なります。筋肉量の多い患者さんではステムネックの邪魔度合いが増加してとてもやりにくいです...。
ネックを前方や下方に排除するためには軟部組織に大きなダメージを与えてしまいます。これを防ぐためにはネックをポリエチレンライナー内に「整復」した状態で操作します。
この際には、ショートサイズの 22mmのトライアルヘッドを準備するとよいです。トライアルヘッドをステムネックに装着してポリエチレンライナー内に「整復」してしまいます。
ネックを直接ポリエチレンライナー内に「整復」してしまうと、ポリエチレンライナーが傷だらけになってしまいます。このためトライアルヘッドを保護材として利用するのです。
昨今では 22mm骨頭を使用する症例はほとんどありません。28mmが最小サイズなので、22mmのトライアルヘッドならポリエチレンライナーとの間にかなり余裕ができます。
さらにショートサイズなので、比較的余裕をもってポリエチレンライナーの操作ができます。と言ってもなかなか難しいのですが、再置換術なので仕方ないですね...。
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