先日、前腕両骨骨折の手術がありました。
前腕両骨骨折の手術は、下記の問題点があるため手術難易度が高いと思います。
- 術後の腫脹を防ぐためにワンターニケットでの手術完了が望ましい
- 少しでも転位を残すと2本目の骨接合が困難になる
①ですが、ワンターニケットで手術を終了することはかなりハードルが高いです。自分の手術記録を見直したところ、ワンターニケットで終了した症例は 1/3しかありませんでした。
②に関しては、少しでも転位を残すと2本目の骨接合が困難になるため、1本目の骨接合から完全な整復を目指す必要があります。これはかなりのプレッシャーですね...。
ちなみに前腕両骨骨折では、骨折型が単純な方から骨接合を行いますが、両方とも同じなら通常は尺骨から骨接合を行います。
釈迦に説法かもしれませんが、橈骨は骨面が比較的平坦なため掌側へプレートを当て、尺骨はテンションサイドである背尺側にプレートを当てる必要があります。
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また、おっしゃる通り、どちらも同じ損傷であれば尺骨からがセオリーですが、橈骨が遠位の場合には慣れた橈骨遠位から行っています。尺骨からすると透視で被りすっきりしないためです。