先日の人工膝関節全置換術(TKA)は、FTAが200度を超える高度内反膝でした。外側の靭帯緊張度に内側を合わせますが、どこまで内側のリリースを施行するかがポイントです。
難症例なので大学の膝班の先生にお越しいただいたのですが、さすが膝関節のプロだけあって非常に手際良い手術手技でした。
高度内反膝ではどこまで内側のリリースを施行するかがポイントと記載しましたが、私のような素人が手術すると、恐る恐る MCLを剥離していきます。
しかし、この先生は一瞬で MCL浅層を鵞足の下まで剥離しました。まさに電光石火...。さすが大学の看板を背負っている膝関節外科医です。
もちろん手技だけなら私でも可能です。しかし数多くの経験が無ければ、MCL浅層をリリースするという大胆な手技は実行できません。
豊富な経験に裏付けられた手技であることは論を俟ちませんが、もうひとつの要因として拘束型人工膝関節全置換術に慣れていることが挙げられます。
私はほとんど拘束型人工膝関節全置換術の経験が無いため、一応バックアップで準備することはあるものの、いつも「お守り」代わりです。
もちろんこの先生にとっても「お守り」であることに変わりありませんが、私とはお守りの意味合いが全く異なります。
私の場合は、拘束型人工膝関節全置換術はほとんどあり得ない選択肢ですが、この先生にとっては「まぁ、しょうがないか」的な実践的バックアップなのです。
綺麗な手術ですが、到底真似することはできないと感じました。ちなみに MCL浅層までリリースしてもダメな場合は鵞足を少しずつ切離するそうです...。
考えただけで鬱になりそうなとてもコワい手技です(笑)。自分でやることはまずないだろうなぁ。