新型コロナウイルス感染症に罹患した骨折患者さんの治療方針で悩んでいます。中等症から回復した超高齢者なのですが、入院時から大腿骨頚部骨折を指摘されていました。


しかし、手術できる状況ではなかったので、新型コロナウイルス感染症の治療を優先されました。その結果、受傷から 3週間経過しているにもかかわらず骨折の治療は手付かずです。


骨折型は Garden stage 2なので、土俵際で踏み止まっている感じです。治療方針としては下記3つが考えられます。


  1. このまま免荷を継続して保存治療を行う
  2. ハンソンピンや CCSを施行して全荷重開始する
  3. 荷重歩行を開始して、転位すれば人工骨頭置換術を施行する


どの治療を選択しても良さそうに思えます。トータルでのリスク&ベネフィットを考えると、②が最も安全そうです。


しかし、新型コロナウイルス感染症からの病み上がり患者さんなので、手術をあくまでも回避するという選択肢もありそうです。


このような場合には、自分の親であればどうするだろう? と自問することにしています。もし自分の両親であれば、、、②ハンソンピンを施行して全荷重開始する、でしょう。


一応、ご家族に上記の3つの選択肢を提示したうえで、自分の親なら②を選択する旨をお伝えしました。誘導尋問のようにも見えますが、一般の方では判断できないと思います。


いつも正解の無い状況での判断に苦しみますが、その場その場で最善と思われる治療を行っていきたいと思います。







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