腱鞘ストレッチとは


腱鞘ストレッチとは、ばね指の保存治療のひとつです。正式には A1 pulleyストレッチと言い、千葉大学の山崎厚郎先生が報告されています。


私も山崎先生に教えてもらってから、ばね指の患者さんの治療で腱鞘ストレッチを愛用していますが、多くの症例で劇的な効果があります。


特に中指や環指のばね指で効果があります。外来で数回ストレッチしてもらうだけでクリックが消失するので患者さんは驚き、俄然ストレッチを継続しようという気持ちになります。



母指の腱鞘ストレッチのコツ


中指や環指では劇的な効果が見込めるものの、母指に関しては効果がイマイチな印象を受けていました。何故だろうと考えながら患者さんのストレッチを見ていてふと気付きました。


母指でストレッチすると内転方向に力を入れてしまうため、腱鞘に対して有効なストレッチ力が加わらないのです。


中指や環指では、MP・PIP関節最大屈曲、DIP関節伸展位で罹患指と手掌でブロックを挟みます。しかし母指では IP関節を伸展位で実施するとダメなようです。


そこで母指の IP関節を屈曲位で腱鞘ストレッチしてもらうと、母指でも著効する症例が多いことに気付きました。なるほど、腱鞘ストレッチのやり方が悪かっただけのようです。



まとめ


腱鞘ストレッチは、即効性のある優れた治療法です。そして母指においては、IP関節を屈曲位で腱鞘ストレッチしてもらうことで、他の指と同様の効果を得られます。






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