実臨床では判断に迷う機会が多い


実臨床では正解がありません。特に状態の悪い患者さんや、手術を考えるような症例では、判断に迷う状況を頻回に経験します。


この治療法を選択して結果が悪かったらどうしよう...。このような不安を感じたことの無い医師は居ないはずです。


先日、超高齢者で肺炎を併発している大腿骨転子部骨折の患者さんの治療で迷いました。スルバシリン点滴で肺炎は軽快しました。


しかし、経口摂取が十分ではないため、高ナトリウム血症を併発したのです。私の居るような場末病院ではリソースが少ないので、手術枠にも余裕がありません。


今日を逃せば次に手術できるのは1週間後になります。選択肢は、思い切って今日手術をするのか、1週間待機するのかの究極の選択です。う~ん、困った...。



治療選択の判断理由をカルテに記載


かなり悩みました。高ナトリウム血症の程度が重度でなかったこともあり、勇気を出してその日に手術をすることにしました。


本当にこの判断が正解なのかはイマイチ自信がありません。本当は1週間待機するべきなのではないのか??? しかし1週間も待機したら肺炎が再燃しそうな気がします。


逡巡しながら手術決定しましたが、その日に手術をする判断の思考過程を簡潔に診療録に記載しました。こうすることで仮に結果が悪くても判断理由が第三者に明示されるからです。


後方視的に別の判断が良かった場合であっても、その時点ですべての選択肢を検討して下したという証拠を診療録に残しておくと、トラブルを回避できます。


治療方針決定の判断理由を診療録に残す習慣ができてから、厳しい判断をする際のストレスがやや軽減しました。もし結果が悪くても訴訟で責任を問われる危険性を減るはず...。



まとめ


実臨床では正解が無いので判断に迷う場面が多いです。治療方針決定の判断理由を診療録に残すことで、トラブルを回避できる可能性があります。











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