ロボット支援下THAはこんな感じ


ロボット支援手術が日本でも普及し始めています。従来のナビゲーション機能に加えて、コンピュータ制御機器によって手術の一部分を施行します。


私は、米国で Makoシステムを触らせてもらったことがあります。わざと違う方向にリーミングしようとしても、ロボットによって強制的に寛骨臼の中心に引き戻されました(笑)。


これなら経験の浅い股関節外科医であっても、レジストレーションや術前計画に誤りが無いかぎりは、インプラントを至適位置に設置できそうです。


コロナ禍前は、日整会の展示場でもロボット支援手術のデモが行われていました。今年はリアル開催されるので、展示場で触る機会があるかもしれませんね。



ロボット支援手術のデメリット


ロボット支援手術は手術の正確さが担保されます。このため、正確なインプラント設置位置と設置角度を通じて、患者さんに対する恩恵が大きいです。


しかし良いことばかりではありません。ロボット支援手術は、下記のようなデメリットも存在します。

  1. 導入コストが高額
  2. メンテナンス費用も高額
  3. 手術時間が長くなる
  4. 習熟するのに症例数が必要


ほとんどの施設は①をクリアできないため、ロボット支援手術導入は困難でしょう。またダビンチもそうですが、メンテナンス費用が高額なので経済的合理性との両立が難しいです。


また、手術時間が長くなることは感染などの周術期合併症の原因となります。ロボット支援手術可能な施設は限られるため、技術を体得しても汎用性に乏しいのが残念ですね。



まとめ


現時点でのロボット支援手術は、経済的合理性まで含めるとまだまだ実用化されているとは言い難いと思います。ポイントは更なる低コスト化でしょう。


医学の発展にある程度のお金がかかることは致し方ありません。しかし、国民の生活あっての医療です。現在の日本の状況では、ロボット支援手術の普及はまだ難しそうな印象です。






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