大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折は珍しい病態ではない
先日、大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折(SIF)の THAを施行しました。私が股関節外科医を志向した頃は、大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折は比較的珍しい疾患という認識でした。
このため、MRIで末梢側凸の band像にならないのが SIFだ! と、ドヤ顔で医師仲間に話していた記憶があります(笑)。
しかし経験を積むにつれて、SIFはさほど珍しい病態ではないことに気付きました。これまで一次性の OAと思っていた症例の中に、たくさんの SIF症例が含まれていたのです。
さすがに頚部骨折に至ってしまう症例には驚きますが、単なる大腿骨頭の圧壊程度であれば全然珍しくありません。
SIF症例の骨脆弱性は検査だけでは分からない
SIFを発症する症例の中には、大腿骨近位や骨幹部の皮質骨が比較的しっかりしている人も居ます。しかも、YAM値もさほど悪くない。
どうしてこんな人が SIFを発症するのか? そのような疑問を抱く人を散見します。先日に THAを施行した人もそのような所見でした。
ところが術中に大腿骨の骨切りをした瞬間に分かりました。やはり SIFを併発して然るべき骨質だったのです。小転子より末梢は立派な皮質骨でした。
一方、頚部は皮質骨が菲薄化しており海綿骨も粗です。まるで大腿骨頚部骨折患者さんのような骨質でした。セメントステムをバックアップしているので安心して手術できました。
もしセメントレスステムのみでは術中にかなり不安だったでしょう。ちなみに寛骨臼のリーミングも一瞬で内板近くまで到達してしまいました。SIF症例恐るべしです...。
まとめ
SIF症例では、大腿骨の皮質骨がしっかりしていて YAM値に大きな異常が無くても油断できません。かなりの骨脆弱性が存在する可能性を念頭に手術を行いましょう。
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