かかりつけ医の診療報酬加算が批判の的に
かかりつけ医が問題になっています。私たち医師は、普段から何気なく「かかりつけ医」というフレーズを使いがち。高齢の患者さんには当然のごとくかかりつけ医が居る前提です。
しかし、実際にはそうではないことがコロナ禍で浮彫になりました。2020~2021年のコロナ禍では、発熱患者を門前払いや自宅療養の患者の往診拒否が多発してしまいました。
もちろん、同じ医師の立場では理解できなくはありません。しかし日経新聞の記事を読む限りでは、地域包括診療加算というかかりつけ医としての診療報酬加算を得ていたとのこと。
平時はかかりつけ医としての診療報酬加算を得ていながらコロナ禍では診療拒否では、国民の同意は到底得られないと感じました。
国民に医療機関の内情は理解されない
今でこそかなりトーンダウンしましたが、2020~2021年頃は新型コロナウイルス感染症に対する国民の拒否感が相当なものでした。
諸外国と比べてダントツに低い感染率にもかかわらず、国民に強いる行動制限が突出していました。しかも風評被害が尋常じゃない。
新型コロナウイルス感染症そのものへの恐怖というよりも、新型コロナウイルス感染症患者さん対応をすることによって、経営への被害を恐れての躊躇でした。
ところが国民にとって、そんなことは理由になりません。感染第5波で多数の患者が自宅で死亡する事態に、医師や医療機関への怒りが沸騰しました。
かかりつけ医を制度化する圧力
コロナ禍で露呈した医療機関の「いいとこ取り」を是正するため、岸田政権はかかりつけ医の役割を担える医療機関を認定して患者を登録する制度の導入を進めようとしています。
一方、認定から漏れると患者さんを失う可能性が高くなるため、日本医師会は「必要なときに必要な医療にアクセスできる現在の仕組みを守るべきだ」と制度化を拒否しています。
しかし、いつものごとくロジカルとは言い難い主張に思えます。そもそもの発端が医療にアクセスできない患者さんが続出したことが原因ですから...。
残念ながら国民の支持を集める制度改革なので、日本医師会が押し切られる可能性が高いと思います。現状維持を望むのなら、加算自体を廃止するのも一法かもしれません。
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