先日、上腕骨近位端骨折の骨折観血的手術を行いました。4-part骨折でしたが、なんとかカタチになってホッとしています。


さて、上腕骨近位端骨折のプレート固定では、deltpectoral approachがデファクトです。一般整形外科医にとって、このアプローチはあまり馴染みありません。


しかし、アプローチ自体は非常にシンプルです。それにもかかわらず展開に苦労することがあるのは、多くの症例が骨折だからだと思います。


骨折症例は受傷後数日であっても、内部はベタベタに癒着しています。このため正常解剖が分かりづらく、慣れない術野も相まって少々手こずることが多いのでしょう。


実は、私自身もdeltpectoral approachは10回ほどしか経験ありません。股関節外科医であることも要因のひとつでしょうが、一般的には20年選手でもこの程度ではないでしょうか。


さて慣れないアプローチとは言え、目の前の症例は何とかしなければなりません。私はいつも過去症例のポイントをwordファイルに書き留めています。


今回の手術に際して、過去問を10症例ほど確認しました。するとほとんどの症例で「指先での剥離」をしていました。アレっ?そんな泥臭いことしてたっけ...。


最近物覚えが悪いので詳細に覚えていないのですが、過去の自分は実際に指先で術野を展開していたようです。そして今回も実際の術野を見て思いました。


これは指先で展開するしかないな...。ベタベタに癒着していて、しかも易出血性です。しかもスペースが狭い。指先で愛護的に剥離することでスムーズに展開できました。


傍目には慣れた術者のようです(笑)。なるほど、deltpectoral approachでは指先で剥離するに限るな。またひとつお利口さんになったようです。






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