私が医師をしているエリアでは、THAや TKA施行症例の術後の初回離床は医師が行うことになっている施設が多いです。


何故、医師が初回の離床を実施するのでしょうか? 理由は定かではありません。肺塞栓症が発生してもすぐに対応できることが目的かもしれません。


しかし、術前に下肢静脈エコーで深部静脈血栓症の除外診断をして予防対策を実施していれば、術翌日に肺塞栓症はほとんど発生しません。


それ以外の理由として THAの術後脱臼が考えられますが、単に離床するだけで脱臼するなど想定外です。ここまで考えると、医師が初回離床を行う意味は無さそうです。


さらに医師が初回離床を行うデメリットは大きいです。最大のデメリットは、医師が訪床するまで患者さんが離床できないことです。


医師は基本的に忙しい。このため患者さんの離床を待たせることが頻発します。よく考えると医師による初回離床はデメリット大きいので、業務改善することにしました。


もちろん医師による初回離床を廃止したところで、全体の業務量が劇的に削減されるわけではありません。しかし、千里の道も一歩からです。


少しずつでも意味の無い慣習を正して業務改善し続ける必要があります。この姿勢は、おそらく医師の働き方改革にも資するのではないでしょうか。






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