先日、THA術後の頻回脱臼症例の再置換術がありました。10数年以上前の症例で、カップがすでに生産中止になっています。


メーカーに問い合わせしたところ、ポリエチレンライナーの在庫も無いとのことです...。う~ん、人工関節のパーツが十数年で廃版になるのは由々しき問題です。


しかし愚痴を言っても始まりません。ハイリークロスリンクとは言え、頻回脱臼症例なのでポリエチレンライナーに溝ができている可能性があります。


そうであれば、ポリエチレンライナーの交換は必須です。しかし在庫が無いのでカップも交換する必要があります。弛みの無いセメントレスカップを交換するのは至難の業。


非常に困った状況ですが、オプションとしてカップは抜去せずに、セメントレスカップの中にセメントを充填して、セメントカップを設置する手法があります。


セメントレスカップのスクリューホールから寛骨臼にドリリングして、セメントカップのアンカーとします。固定性はそれなりにありそうですね。


この手法であれば、セメントレスカップを抜去する必要がないので簡便な手術となります。もちろん王道はセメントレスカップの抜去+再置換でしょう。


しかし、弛みの無いセメントレスカップを抜去するリスクは大きいです。セメントレスカップ内にセメント固定するリスクを天秤にかけて、治療方針を決定すれば良いと思います。






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