先日、橈骨遠位端骨折の術前検査で胸部の単純X線像を撮影しました。何気にみていると、右肺門の下の方に 1cmぐらいの結節影らしきモノが...。


少し迷いましたが胸部CTを撮像したところ、明確な結節を認めました。シロウト目に見ても悪そうな顔をした結節影です。


さしあたって内科に紹介したところ、肺癌の可能性があるとのことでした。肺癌か否かの気管支鏡での精査が必要とのことでしたが、骨折の治療を優先してまずは手術を行いました。


そして骨折の術後に近くの総合病院で気管支鏡を実施して肺癌確定、その後は間髪空けずに肺切除術を施行したそうです。


先日、その患者さんが骨折の術後フォローで再診されたのですが、感謝されっぱなしでした。曰く、肺癌を見つけてくれたおかげで一命を取り止めたと...。


まだ肺癌が小さかったので根治的治療が可能だったようです。検査での癌見逃しがクローズアップされがちですが、今回のような良い方のパターンは珍しい部類だと思います。


患者さんに感謝されて悪い気はしません。しかしよく考えると、今回はたまたま見逃しませんでしたが、下手したら数年後に見逃しで訴えられていた可能性もあります。


勝って兜の緒を締めよではないですが、これからも胸部の単純X線像などで見逃しを発生させないように注意し続ける必要があると思いました。






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