先日、内側半月板後根損傷が話題になりました。傍で聞いていたのですが、恥ずかしながら内側半月板後根損傷という傷病は初めて聞きました...。


内側半月板後根損傷は半月板損傷の特殊形態です。中高年の女性に好発し、階段昇降やジョギングなどの最中にいきなり発症することが特徴です。


内側半月板後根が断裂する際に、膝の中でゴリッという音がして痛みが出ること多いようです。かなり痛みが強いのですが、MRIでははっきりとしないことも多いです。


その理由は内側半月後根の解剖学的特徴のためです。MRIで内側半月板後根損傷と診断できる唯一の所見は、MRIの矢状断での内側半月板後根の消失です。


しかも、ほとんどの症例では、内側半月板後根の消失しているスライスはひとつしかありません。よほど注意していないと見逃す可能性が高いのです。


内側半月板後根損傷を放置していると、半月板のクッション機能が急激に低下し、変形性膝関節症の急速な進行や大腿骨内側顆骨壊死を起こすことがあります。


その理由は、内側半月板後根は内側半月のアンカーの働きをしているため、この部分が断裂すると内側半月板逸脱(medial meniscus extrusion:MME)を誘発するからです。


私は今まで内側半月板後根損傷を見逃していた可能性が高そうです。動作中に発生した中高年女性の突然の内側膝関節部痛では、内側半月板後根損傷を鑑別診断に入れよう...。






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