先日、オレンシアサミット2022年に参加してきました。久し振りのオンサイト開催で、前日からの博多入りです。新しい出会いがあり、とても楽しいひと時を過ごしました。
さて、講演会では移行期医療についてのセッションがありました。移行期医療とは初めて聞くフレーズです。
移行期医療は、若年性特発性関節炎(juvenile idiopathic arthritis:JIA)などの16歳未満のこどもの患者を、小児科から成人診療科へシームレスに繋げる試みです。
これまでは、JIAなどで小児科で治療されていた患者さんは、成人してもそのまま小児科で治療を続けるケースが多かったそうです。
しかし、20歳台後半の患者さんが小児科を受診するのは少しおかしな感じですね。しかし、JIAは関節リウマチと異なる疾患なので、成人診療科の医師も苦手意識があるようです。
私自身は場末病院の医師なので、関節リウマチ患者さんはたくさん治療しているものの、JIAの治療経験はありません。
このため、疾患自体の特殊性をそもそも理解していないのですが、リウマチ科の医師でさえ苦手意識があるというアンケート結果に驚きました。
しかし小児診療科と成人診療科の間には、取り扱う疾患が違うだけではなく、患者さんとの関り方や社会制度の違いもあって移行が難しいようです。
理想を言うと、ある一定期間の両科併診を経て、リウマチ科への転科が望ましいです。しかし現実は、ある日突然転科するそうです。
ドラスティックな変化なので、医師・患者さんとも大変です。このため、移行期医療の取り組みが全国各地で立ち上がっています。
そのキモになるのは、単に転科をスムーズにするだけではなく、患者さんおよび両親の自立を促すことです。特に両親の子離れが難しいケースが多いとのことです。
小児期発症慢性疾患患者さんはさほど数が多くないですが、国の将来を担う貴重な存在です。移行期医療を支える仕組みづくりは素晴らしいと思いました。
管理人 お勧めの医学書
初学者が関節リウマチの治療体系を俯瞰するにあたり、最もお勧めの書籍です