ケアネットで興味深い記事がありました。
ハイテク靴下で高リスク患者の転倒を予防 です。


米国では年間70万~100万人の患者が入院中に転倒を経験する。転倒はさらなる健康悪化のきっかけとなることが多い。しかし、これまで転倒減少につながる有効な方法はほとんどなかった。こうした中、入院患者がベッドから起き上がろうとすると、ソックスに内蔵された圧力センサーが反応してアラートを送信する「スマートソックス」が入院患者の転倒防止に有効である可能性を示した新たな研究結果が報告された。



なるほど、スマートソックスですか...。やや斬新なアイデアではあります。しかし、類似商品に離床センサーマットがあります。


素人的な感覚では、離床センサーマットでも充分な転倒予防効果がありそうです。そこで、PubMedで fall preventive movement sensorを検索してみました。


いくつか文献を読んだのですが、たしかに有意差の無い文献ばかりです。そこで日本語論文にもあたってみました。こちらは、7つヒットしました。


ただし、離床センサーマットの有効性を検討した研究は、2文献だけでした。そのうちのひとつは下記です。





離床センサーマットの有効性は有るとの結果です。しかし残念なことに、n数がとても小さいです。しかも日本語論文しか無さそう。これでは世の中に存在しないのと同じですね。


米国の研究は「スマート」「ウェアラブル」というキャッチーで時流に乗ったキーワードを散りばめた上で、どかんと n数をかき集めて英語論文で仕上げています。


考察等に要する時間はあまり変わらないと思うので、これだけ話題性に差が出るのは非常に残念です。やはり勝ち筋を知らなければいけないと痛感しました。


もちろん、日本人著者は有名になろうと考えていなかった可能性が高いです。しかし、せっかくの研究内容なのに、ほとんど日の目を見ずにもったいない話です。


少し話が脱線しましたが、何がスマートなのか分かりませんが、
離床センサーマットのような仕組みは転倒予防に一定の効果がありそうです。勉強になりました。







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